発達障害の特性を持ちながら、保育士として子どもたちと向き合っているあなたへ。
日々、子どもたちの成長をサポートしながらも、「もしかして、この仕事は自分には向いていないかも…」と感じているかもしれませんね。
この記事では、発達障害の特性を持つ保育士さんが抱える悩みや、仕事が合わないと感じる理由についてご紹介します。
また、あなたに合った働き方を見つけるためのヒントも盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてみてください。
我が家は、長男に自閉スペクトラム症の診断があります。夫は息子の診断が出てから受診・検査をしてADHDの診断、現在は必要に応じてコンサータを服用しながら会社員をしています。私自身も特性を認識することが多く、感情の起伏が大きいので、漢方を服用しています。
この記事は、特性を抱えた当事者目線で記事を作成しています。
この記事はこのような人におすすめです
- 「発達障害の特性があるけれど保育士として働きたい」
- 「検査はしていないが自分にも特性があるのではないかと思う」
- 「どうしても仕事でうまくできないことがある」
発達障害の保育士さんが抱える悩みとは?
発達障害の特性を持つ保育士さんは、周囲の保育士とのコミュニケーションや、子どもの集団行動への対応に苦労しているケースが多いようです。
具体的には、以下のような悩みを抱えている方が少なくありません。
- コミュニケーションの難しさ: 相手の気持ちを汲み取ることが難しかったり、言葉の選び方を間違えてしまうことで、人間関係がうまくいかない。
- 多様な子どもたちへの対応: 活発な子、内向的な子など、一人ひとりの個性や発達段階に合わせた対応が難しく、常に気を張っている状態。
- 書類作成や事務作業: 書類作成や事務作業が苦手で、時間がかかってしまい、他の業務に支障が出てしまう。
- 時間管理: 時間の感覚がつかみにくく、スケジュール管理が難しかったり、締め切りを守ることができない。
- 変化への対応: 予定の変更や、突発的な出来事への対応が難しく、パニックになってしまう。
保育士の仕事が合わないと感じる理由
保育士の仕事は、子どもたちとの関わりだけでなく、保護者とのコミュニケーションや、書類作成など、多岐にわたる業務があります。
発達障害の特性によっては、これらの業務が負担に感じられ、仕事が合わないと感じる方もいるでしょう。
- 多様なタスクの同時進行: 保育士の仕事は、複数のことを同時にこなすことが求められます。 発達障害の特性によっては、これが難しいと感じることがあります。
- 不確実性の高い環境: 子どもたちの成長は日々変化するため、保育士の仕事は常に変化に対応することが求められます。
- 感情労働: 子どもたちの気持ちを理解し、共感することは、感情労働の側面が強い仕事です。
- 評価の難しさ: 保育士の仕事は、目に見える成果が出にくいことも多く、自分の仕事が評価されていないと感じることがあります。
疲れやストレスなど心身の状態や環境によって、特性の表出が強化されてしまうこともあります。また、「職場では頑張れても自宅に帰ると疲れて動けない」「疲れて休日は何もできない」というのは“過剰適応”という状態です。特性がある場合、他の人と同じようにできるように見えても、結果にたどり着くまでの過程で他の人よりも労力を要している場合が多々あるため、疲れやすくなります。そのような場合は、十分な休息をとることを心掛けることや心身の負担が少ない職場へ転職することをおすすめします。
発達障害の特性を生かして働くには?
発達障害の特性は、必ずしもデメリットばかりではありません。
むしろ、保育の現場で活かせる強みを持っている方もいます。
例えば…
- 子どもの気持ちに共感できる: 発達障害の特性を持つ方は、相手の気持ちに敏感な人が多く、子どもたちの小さな変化にも気づくことができます。
- 一つのことに集中できる: 特定のことに集中して取り組むことができるため、子どもたちへの個別指導が得意です。
- 誠実で真面目: 一度決めたことを着実にこなすことができるため、信頼関係を築きやすいです。
近年は発達障害のお子さんを預かる機会が多いでしょう。保育士が特性を深く理解したり共感したりできることは、特性を持つ子どもや保護者にとってとても心強いことです。
また、苦手なことだけでなく自身の得意なことに目を向けて、積極的に活かしてみましょう。
あなたに合った働き方を見つけよう
発達障害の特性を持つ保育士さんが、働きやすい職場環境としては、
- 少人数制の保育: 一人ひとりの子どもにじっくり向き合うことができる。
- チームワークを重視する職場: お互いを尊重し合い、助け合いながら働くことができる。
- 柔軟な働き方: 短時間や固定時間制など、自分に合った働き方ができる。
- カリキュラムが決まっている:決まった内容に沿って活動を提供することができる。
- 行事が少ない:保育活動に専念できる。
などが挙げられます。
現状を変えるためのヒント
自分の強みと弱みを把握する
自己分析を深める
- 過去の経験を振り返る: これまでの人生の中で、自分が得意だったこと、苦手だったこと、達成感を感じたことなどを具体的に書き出してみましょう。
- 周囲の意見を聞く: 家族や友人、職場の同僚などに、あなたの強みや弱みについて意見を求めてみましょう。客観的な視点から自分を見つめ直すことができます。
- 性格診断テストを受ける: オンラインで受けられる性格診断テストなどもあります。自分の性格の傾向を知り、強みや弱みを客観的に把握するのに役立ちます。
専門家への相談
- キャリアコンサルタント: キャリアに関する相談に乗ってもらい、自分の強みを活かせる仕事や、自分に合った働き方についてアドバイスをもらえます。
- 発達障害の専門家: 発達障害の特性と仕事の関係性について詳しく教えてもらえます。自分の特性を理解し、働きやすい環境を見つけるためのヒントを得られます。
- 産業医: 職場での悩みや、身体的な不調について相談できます。
病院で検査や診断が出れば、症状に合わせた薬を処方してもらうことができます。人によっては、服薬はハードルが高く感じるかもしれませんね。しかし、困難さを抱えた状態で仕事に取り組むよりも、心身の状態に合わせた処方で生活がしやすくなることがあります。医師と相談しながら、必要があれば服薬することも検討してみましょう。
職場での自己開示
- 上司や同僚へ話す:苦手なことは手伝ってもらったり、声掛けをしてもらえるようになります。
- 保護者へ話す:新年度の自己紹介やおたよりの中で、苦手なことを話しておくことで保護者側から理解を得られやすくなります。
診断名について話す必要はありませんが、
- 「忘れやすいので、何か気になることがあれば遠慮なく声掛けしてください」
- 「大きな音の中だと聞き取りにくいので、何度か聞き返してしまうことが多いかもしれません」
など苦手なことを開示するだけで、周囲の理解や配慮を得られやすくなります。
新年度タイミングで話しておくとスムーズです。
自分に合った職場を探す
求人情報サイトの活用:
- 保育士専門の求人サイト: 保育士の求人情報に特化しているサイトでは、より詳細な情報を得ることができます。
- 一般の求人サイト: 一般的な求人サイトでも、保育士の求人は多数掲載されています。
- キーワード検索: 「発達障害」「少人数制」「固定時間勤務」など、自分に合った条件で検索してみましょう。
特性によっては、保育園でない方が適している場合もあるかもしれません。保育士資格を活かせる仕事は保育園以外にもあり、保育士以外にも子どもとかかわれる仕事は数多くあります。
特性・得意なこと・苦手なこと・自身の志向など、さまざまな条件を考慮して自分に合う仕事を選択してみましょう。
保育園以外の仕事については、こちらの記事で詳しく紹介しています。↓
ハローワークの利用
- 職業相談: キャリアカウンセラーに相談し、求職活動のアドバイスを受けることができます。
- 求人情報: ハローワークでも、保育士の求人が多数掲載されています。
転職エージェントの利用
- 専門的なサポート: 転職エージェントは、あなたの希望条件に合った求人を紹介してくれるだけでなく、面接対策や交渉などもサポートしてくれます。
転職をするとなると、書類作成・見学・面接対策・スケジュール管理など日々の生活や業務に加えてやらなければいけないタスクが増えます。
一人での管理が難しい場合や就職先について相談したい場合は、ぜひハローワークや転職エージェントを利用しましょう。あなたの希望条件に合った職場を紹介してくれたり、雇用内容を交渉してくれたりします。
職場見学をする
職場見学のポイント
- 雰囲気: 職員同士のコミュニケーションや、子どもたちの様子など、職場の雰囲気を実際に感じてみましょう。
- 仕事内容: 具体的な仕事内容や、一日のスケジュールなどを確認しましょう。
- 職場環境: 働きやすい環境かどうか、休憩室や保育室などの設備も確認しましょう。
見学の申し込み
- 求人情報サイト: 多くの求人情報サイトでは、職場見学の申し込みが可能です。
- 直接連絡: 気になる園に直接連絡して、見学の申し込みをしてみましょう。
職場見学についてはこちらの記事で詳しく解説しています↓
他の保育士と交流する
SNSの活用
- 保育士向けのコミュニティ: X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSには、保育士向けのコミュニティがあります。同じような悩みを持つ人との交流が可能です。
保育士会への参加
- 地域の保育士会: 地域の保育士会に参加することで、地域の保育事情や、他の保育士の話を聞くことができます。
研修会やセミナーへの参加
- 専門的な知識: 発達障害児に関する研修会やセミナーに参加することで、専門的な知識を深めることができます。
さまざまなSNSで保育士の交流ができ、職場では言いにくい悩みや相談がしやすい場合もあります。
また、発達障害の専門知識を深めることで、自己理解や苦手なことの対応のヒントが得られることもあるでしょう。
その他
メンタルヘルスに気をつける
- ストレスを溜めない: 適度な運動や趣味など、ストレス発散できる方法を見つけることが大切です。
- 相談できる相手を見つける: 家族や友人、信頼できる人に悩みを相談してみましょう。
無理のない範囲で
- 焦らずゆっくり: 自分に合った職場を見つけるには、時間がかかることがあります。焦らず、ゆっくりと求職活動を進めましょう。
これらの情報を参考に、あなたにとって最適な働き方を見つけてください。
【補足】
- 発達障害の特性別支援: 発達障害には、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動性障害)、LD(学習障害)など様々な種類があります。それぞれの特性に合わせた支援を受けることも大切です。
- 地域包括支援センター: 地域包括支援センターや発達障害者支援センターなどでは、発達障害に関する相談や、さまざまな支援サービスを紹介してもらえます。
- ハローワークの障害者職業相談支援: ハローワークには、障害者の方の就職をサポートする専門の相談窓口があります。
- NPO法人: 発達障害者の就労を支援するNPO法人もあります。
これらの情報を活用し、あなたにとってより良い未来を切り開いていきましょう。
まとめ
発達障害の特性を持つ保育士さんにとって、保育士の仕事が必ずしも合わないというわけではありません。
大切なのは、自分の特性を理解し、得意なことを活かした働き方を見つけることです。
もし今の職場が合わないと感じている場合は、転職や別の仕事にチャレンジしてみることも検討してみましょう。